[応募参考記事] 「おうちを電子工作しよう」by 遠藤諭

転載元:夕刊フジ デジタル業界激注目メモ(2015年11月12日発行)
文● 遠藤諭
夕刊フジ デジタル業界激注目メモ

 電子工作といえば、子供が夏休みの宿題で乾電池とモーターを使って車の模型を作るというような世界だった。それが、ここ数年の間に「大人の電子工作」ともいうべきものが流行しているをご存じだろうか?
 2004年に米国で『MAKE』という雑誌が創刊されたのがきっかけ。紹介された工作品の中には、壊れたVHSビデオデッキを使って、毎日決められた時間にネコにエサをやる機械なんてのもあった。イチから作らなくても、改造でもいいというわけだ。
 これが日本にも飛び火して、秋葉原の昔ながらの電子部品店にも、にわかに客が来るようになった。秋葉原に近い末広町の中学校跡を改造した文化施設「3331」には「はんだづけカフェ」なるものがあり、工作好きの女子向けには「テクノ手芸」なんて言葉まで登場している。ちなみに、初心者がまず取り組む、アクセサリーなどにLEDを組み込んで光らせることを「エルチカ」(LEDをチカチカ)と呼んだりもする。
 エルチカに飽き足らなくなった人たちは、やがて「Arduino」(アルドゥイーノ)や「Raspberry Pi」(ラズベリーパイ)という電子工作用のマイコンを使うようになる。電子工作が“頭脳”を持つことになるので、「エルチカ」も複数のLEDを四角形に並べて文字パターンを表示するなどは平気でできる。
 一人で考えるのはいかにも難しそうだが、ネット上のコミュニティーなどを通じて教え合えるので、それもまた楽しい。いまではグーグルなどの大企業がスポンサーとなって、小学生向けのラズベリーパイ教室も開かれている。
 その一方で、やはりここ数年の間に進化してきたのが温度や光、圧力や加速度などのさまざまなセンサー類。そして、Wi-FiやBluetoothなどの無線通信モジュールだ。いずれも、スマートフォンなどに組み込まれている部品だが、それらがバラバラに駄菓子屋さん感覚で売られ始めているのだ。それらをアルドゥイーノやラズベリーパイと組み合わせてできることは、文字どおり無限大といってもあながち大げさではない。
 ということで、いま静かなブームなのが「おうちハック」の世界だ。「おうちハック同好会」というグループがあり、私はお台場で行われたイベントを見てきたのだが、家をオモチャ感覚で“改造”する楽しいイベントだった。
 関係する企業も目をつけていて、ダイワハウスは「家CON」なるコンテストを開催。ユーザーのコミュニティーには大塚商会や竹中工務店などが協力して「スマートライフハッカソン」なるものもすでに3回目が開催される。企業があつらえで作った「スマートハウス」だといかにも大げさでいかめしいが、おうちハックにはユーザーが本当に求めているものが見えてきそうだ。
 実は、この世界、私は1年ほど前からHEMSアライアンス(HEMSというスマートホームのビジネスを推進するための家電・電力・通信メーカーの集まり)のお手伝いをさせていただいている。ここでは省電力だけでなく、暮らしの“質”を向上させる仕組みも考えている。
 このHEMSアライアンスとLIXIL、東京大学エネルギー工学連携研究センターが共催で、「快適IoT」というコンテストも開催中だ。「アプリ部門」、電子工作的な「自作ホームオートメーション部門」、実験ハウスをコントロールする「アイデアジェネレーター部門」の3つがあり、賞金総額は100万円。11月30日締め切りで作品募集中なので、ご興味のある方はぜひ公式サイト(http://kaitekiiot.com/)をご覧いただきたい。

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 さて、おうちハックで何をやるのかというと、文字どおりアイデア次第。快適IoTの応募サンプルを、ライターの船田巧氏が作ってくれたのだが、ドアが開くと入ってきた人の写真を撮るという電子工作だった。これはネコ用のドアにも冷蔵庫にも応用可能。テストでは、サンタさんが玄関ドアから入ってきた写真が撮れていたが(季節的に少々早い)、無料で使えるライブラリを使えば“顔認識”もできるそうだ。

転載元
掲載:夕刊フジ11月12日発行
   デジタル業界激注目メモ

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・快適IoT公式サイト
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